神田にて

ちょっと用事があって、久しぶりに神田神保町を通った。
ちょうど古本市をやっていて、人だかりがあちこちに出来ている。
時間がないので、歩きながらも、
つい本のタイトルに目が行き、立ち止りそうになった。
みんな本が好きなんだなあ。
電子書籍が今は話題で、まるで紙の本は前世紀の遺物みたいに言う人がいるが、
そういう人は、こういう風景を見て、何と言うのだろう。
ここには単なる文字データではない、秘かに出会いを待っている一群の言葉があって、
また、それらと出会うことを願って熱心に探し回る人がいて、
それらの出会いは一種の「縁」である。
本というのは、そういう言語観や人生観を背負っていたもののように思う。
そんなことを考えた。
帰りにイタリア書房に寄り、カルロ・ゴルドーニ(18世紀イタリア・ヴェネツィアの劇作家)の
「Trilogia della villeggiatura」(別荘暮らし三部作)を買う。
villeggiaturaというのは、休暇を田舎や海山で過ごすことで、
ぴったりの訳語がない(「避暑」「避寒」では、季節が限定されてしまう)。
やむなく「別荘暮らし」とここではしておく。
買った本を元に、こんな訳語探しをするのも、書店巡りの副産物だ。
こんな時、言葉はデータなどではない、と思ったりする。
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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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