コルシカ語とAssimilシリーズ

コルシカ語はイタリア語の方言なのだが
(もちろんコルシカ島で話される)
そのコルシカと言えばフランス領で、
これは歴史的経緯があり、フランス本国とは
独立戦争を潰されたことから、
微妙な確執があるのであろう。
しかしこのコルシカ語を学習するに当たっては
フランスの出版社アシミル(Assimil)から出ている
CD付きの「Le corse sans peine」という教材に
大いに世話になっているのだから、
ますます微妙な話である。
辞書は1915年版(!)の
「Vocabolario dei dialetti, geografia e costumi della Corsica」
というイタリアのものを使っているが、
あまりに古くて、役に立っている、とは言い難い。
コルシカ語にとって、イタリアに属していたほうが良かったのかどうか、
我々には判断できない。
話者は10万人ほどらしいが、衰退は否めないだろう。
明らかにイタリア語に近いが、ちょっと発音が「緩んだ」感じのする言語である。
たとえば、
Aghju capitu.(分った。)は、イタリア語の Ho capito.(オ・カピート)に
対応するが、その発音は「アジュ・ガビードゥ」。
Chì ci vole inù?(まださらに何が要るの?)は、
Che ci vuole ancora?(ケ・チ・ヴオーレ・アンコーラ)に相当するが、
これの発音は「キ・チョーレ・イヌ」という感じで、
無声閉鎖音が有声閉鎖音に、有声閉鎖音が脱落する、という傾向がある。
イタリア標準語からみると、「だらしない田舎の言葉」という感じかもしれないが、
コルシカ人から見れば、この緩さがふるさとの言葉の温かさなのかも知れない。
言葉の発音の美しさに、客観的基準は無いのだ。
ちなみに、コルシカはナポレオンの故郷。
エンリコ・マシアスが歌った「想い出のソレンツァーラ」の
歌詞の最後の部分は、コルシカ語で歌われている。

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No title

初めまして。
「想い出のソレンツァーラ」、いい歌ですね。最近カラオケで歌いました。ソレンツァーラはイタリアの地名と思ってました。「思い出のソレンツァーラ」について興味があっていろいろ調べたら、ソレンツァーラはコルシカ島の地名だと知りました。エンリコ・マシアスがアルジェリア出身のユダヤ人だということも知りました。イタリア風の名前エンリコとスペイン風の姓マシアスを合わせた芸名だそうです。ユーチューブで「思い出のソレンツァーラ」の字幕付きの動画を見て、サビの部分はイタリア語でしたがコルシカ語だったんですね。

<Aghju capitu.(分った。)は、イタリア語の Ho capito.(オ・カピート)に
対応するが、その発音は「アジュ・ガビードゥ」。
そういえばウィキペディアの「コルシカ語」のページを見た時、イタリア語の語末の「o」はコルシカ語では「u」になってました。
似たような現象はポルトガル語でも、たとえばRio de Janeiro(リオ・デ・ジャネイロ)は「ヒウ・ヂ・ジャネイル」のように発音します。ポルトガル語の語末の「o」は「オ」と「ウ」の中間の発音で、英語のbookのooに近い発音らしいです。
私が住んでる沖縄の方言も、母音が標準語の「え」は「い」に、「お」は「う」に変化することが多いです。たとえば「沖縄」のことを「うちなー」と言います。まさに似てるなーと思いました。

<コルシカ語はイタリア語の方言
言語か方言かというのは微妙な問題ですね。沖縄の言葉は日本語の方言か、それとも琉球語という一つの言語なのか。広東語は一般的に中国語の方言とみなされ、民族的にも「漢民族」とくくられますが、「広東『方言』」とはあまり言わず「広東『語』」とよくいいますね。

「思い出のソレンツァーラ」の歌詞はサビだけがコルシカ語であとはフランス語ですが、「Solenzara」の部分だけがフランス語でないコルシカ語(イタリア語も同じ?)の発音になってますね。「R」の発音で鮮明に現れてます。フランス語のRはのどひこを震わせる音ですが、そうではなくてイタリア語のR(日本語のラ行に近い)の音に聞こえます。

No title

「想い出のソレンツァーラ」は、私にとってはリアルタイムで聴いていた懐かしのヒット曲です。
歌と言語、というのは当然ながら縁が深いものなので、外国の曲で初めてその言語を耳にした、ということもよくありますね。
「ナオミの夢」という曲でヘブライ語を、「パタ・パタ」でコサ語(まだ意味は分からない)を始めて耳にしました。逆に習った言語で歌われている歌を探してお気に入りの曲を見つける、というのも言語学習の副産物だと思います。
プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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