チェーホフ『三人姉妹』読了。

チェーホフ『三人姉妹』原文を読了。
他のチェーホフ戯曲に比べると、構造が複雑で、人物関係を把握するのにちょっと苦労した。
日本語ならともかく、ロシア語で読んでいくので、スピードが遅いから、
時々人間関係を思い出すのに、文庫の訳に頼ったりした。
しかし、ラストはチェーホフらしい感動的なものだった。
三人姉妹のオーリガ、マーシャ、イリーナがそれぞれの人生への幻滅、絶望、悲劇などを経て、
それでも自分たちは働き、生きてゆき、未来への希望を失ってはならない、と述べるシーン。
イリーナ、マーシャに続き、長女オーリガがこう述べる。

Ольга (обнимает обеих сестер). Музыка играет так весело, бодро, и хочется жить! О, боже мой! Пройдет время, и мы уйдем навеки, нас забудут, забудут наши лица, голоса и сколько нас было, но страдания наши перейдут в радость для тех, кто будет жить после нас, счастье и мир настанут на земле, и помянут добрым словом и благословят тех, кто живет теперь.О, милые сестры, жизнь наша еще не кончена. Будем жить! Музыка играет так весело, так радостно, и, кажется, еще немного, и мы узнаем, зачем мы живем, зачем страдаем... Если бы знать, если бы знать!

オーリガ(二人の妹を抱きしめながら)楽隊の音があんなに陽気に、元気に響いているわ。生きる気持ちが湧いてくる! ああ! 時は過ぎ去る、私たちは永遠にこの世を去って、忘れられてしまう。私たちの顔も、声も、何人姉妹だったかも忘れ去られる。でも、私たちの苦しみは、後の世の人たちの喜びへと変わって、幸福と平和がこの地上を訪れるでしょう。そして、今生きている私たちのことを、美しい言葉で思い出し、祝福してくれるのだわ。ああ、かわいい妹たち、私たちの人生はまだ終わっていない。生きなくては! 楽隊の音はあんなに陽気に、喜びに満ち溢れている。もう少ししたら、たぶん、私たちには分かるわ。なぜ私たちが生きているのか、どうして私たちは苦しんでいるのか・・・それが分かったなら、それが分かったなら!(訳・井上)

チェーホフのロシア語が「歌っている」。これが文学だ。
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テーマ : 洋書多読
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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