抱合語と孤立語

中国語の成語表現を少し勉強して、ふと思ったのだが、
中国語の多種多様な慣用表現や熟語、
つまり数語がまとまって一つの表現単位を成すその構造は、
抱合語と呼ばれている(エスキモー語やナワトル語など)、
複雑な語構成をなす言語の、その語構成と実は意外に似ているのかもしれない。
「活用も接辞もない孤立語と、複雑な語構成の抱合語の
どこが同じなのだ」という意見は当然あるだろう。
しかし、よく考えてみよう。
「語」と「文」とは何か? 「接辞」と「語」は絶対に別物なのか?
接辞も語も文も、時間的系列に沿って発音されるものである。
活字なら語間を空けることや、コンマやピリオド等の記号で視覚的に区別できるが、
話している時に、そんなものは存在しない。
相対的な間合いの違いだけである。
一番の問題は音変化(融合・脱落・添加など)だろうが、
これは語と語の間でも起きうるだろう(中国語でも声調は変化する)。
接辞は単独では用いない、という違いはあるかもしれないが、
単語が熟語中で接辞的働きをする、ということはありそうである。
ナワトル語を見ていて思ったのは、
語が、圧縮した熟語や短文のような構造を示していることである。
これは要素をバラしてしまえば、熟語表現や成語のようなものになるのではないか。
とすると、これは接辞と実詞(名詞・動詞など)からなる慣用表現の一種、
と捉えることもできよう。
ただし、そこに音変化と相対的な間合いの短さが加わる。
覚えるには、数多くの実例を知り、そのパターンを身につけなくてはなるまい。
そうして初めて、瞬時に語構造を理解できるようになるのだと思う。
分析的に処理しにくい、難しい言語群である。
そしてその難しさは、意外にも孤立語に似ている気がするのである。
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テーマ : 言語学・言語論
ジャンル : 学問・文化・芸術

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No title

訪問有り難うございました。

難しそうなブログですね。
このテンプレート僕が今の前に使っていたものと一緒です。
これもシンプルで良いですよね!

No title

コメントありがとうございます。
実は絵(似顔絵もあり)のブログもやっています。
「スケッチ貯金箱」というタイトルです。
検索すると出てきますので、
もしご興味があればお立ち寄りください。
プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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