チューリヒ・ドイツ語その他

“Zürichdeutsche Grammatik”という本を今読んでいるのだが、
これはスイス・チューリヒで話されるドイツ語の方言の文法書で、
ずいぶん昔に偶然手に入れたものを、ようやく今頃読み始めたものである。
しかし正直、ドイツ系の文法書はやりにくい。
精緻な記述は学問的には価値があるのだろうが、
学習、という観点から見ると、完全主義的すぎて
文法の骨格を把握するのにむしろ骨が折れる。
文法の記述にも民族性が現れる、ということは確かにある。
アメリカなどは、良い文法書もたくさんあるが、
実用性に傾きすぎて、むしろ文法が見えなくなっているものも多い。
私としては、イギリスあたりのバランスの取り方が肌に合う。
中国の文法書は、分類の仕方が意味論的な要素が入りすぎて、
かえって普遍的な記述に書き換えにくい。
これは構造が孤立語である中国語が、どうしても文法分析より
語義や慣用語法の分類などに重心を置いてしまうところに
起因しているのかもしれない。

 さて、ドイツ語の方言の話であるが、
ドイツ語は、古語や方言、さらに方言の古語などをあわせると
かなりの数の言語数の文法書が出ている。
「古高ドイツ語」「中高ドイツ語」「中低ドイツ語」
「低地ドイツ語」「初期新高ドイツ語」など。
これらは、言語学的に見れば、別言語として扱うのだろうが、
しかし一般的な常識から言うと、少し違和感があるだろう。
一応これらの文法にも目は通したが、
違う言語を学んだ、という実感はあまり無い。
むしろチューリヒのドイツ語のほうが、はるかに別言語、の実感がある。


しかしこれも、スペルから受ける感覚なのかもしれない。
言語の異なり具合を正確に測るのは、難しいものである。


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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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