『英語という選択』

『英語という選択』(嶋田珠巳・岩波書店)読了。
アイルランドの言語事情を、実際のフィールドワークにも基づいて考察している。
本来の母語ゲール語を英語によって侵食され、それでもアイルランド英語という独特の英語に母語の特徴を反映させているアイルランド人たちの言語意識や、言語の交替について思索を巡らしている。
最後の部分で、昨今の日本の小学校における英語教育について述べている部分が、「日本語が無くなるはずはない」という楽観的な観測に基づいているということに気付かせてくれて、ハッとするものがある。
早期の英語教育がもたらすものについて、もっと真剣に考えなければいけないだろう。また、中学校以降の英語教育における発音教育の未熟さなども、もっと論じられなければならない。早期教育なんて有害かもしれない。あとから正しい方法で身に付けさせること、そして母語以外の習得を「自然に楽に」身に付けたいなどという虫のいい考えはまちがっているのだ、という認めたくない真実をはっきりと示すこと。一般の人に実際に必要とされる英語はどのようなもので、それに無駄なく近づくにはどうしたらいいのか、という基本的なことを私たちはもっと考えなくてはならないのだ。
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井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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