旧仮名遣いの説明に苦労

 校閲講座で旧仮名遣いを説明するため、文法的な観点からまとめようとしているのだが、始めると結構厄介だ。
 日本語の仮名はほとんど音節文字、といっていいものなので、変化形を記す場合に不都合が出る場合がある。「来る」などは「こない」「きた」「くる」と、語幹ではないかと思われる部分が「こ〜き〜く」と変わってしまうので、仮名では語幹が設定できない。ローマ字なら、ko〜ki〜kuなので語幹をk-と設定できるのだが、仮名ではそうはいかない。「する」もそうだし、上一段活用にもそういう動詞が多い。整理の仕方を考えなければいけない。一般的な説明とは少し違う説明をしなくてはならないかもしれない。
 文法というものは、法律とは違う。言語現象を説明できればいいわけで、一つの形に決められているわけではないのだ。不都合だと思えば、自分で書き換えてもよいのである。言語自体も精密機械のようなものではなく、理屈に合わない部分も相当あるわけだから、その不整合な部分も含めて了解しやすい形にまとめたものが良い文法なのだと思う。
 というわけで、ちょっと苦労している。旧仮名遣いのややこしい部分を説明するためのものをめざしているので、やっているうちに旧仮名遣いの曖昧な部分も分かってきたりする。かなり無理のある表記法だと個人的には思うが、実在する方法なので、校閲としてはわきまえておきたいものでもある。それにしても、誰にでも分かるようにきちんと語学的に纏めてくれたもの(「旧仮名遣いの書き方」的な本)が見当たらないのはどういうわけだろう。周辺の議論は沢山あるのに。
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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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