ウクライナ語を聴き直し

 『カンボジア語会話練習帳』の聴き直しがもうすぐ終わるので、次に聴くものを考える。
 『ニューエクスプレス・ウクライナ語』にしよう。
考えてみると、これを以前聴こうとして途中まで進んだところで、東日本大震災があったのだった。続いて福島第一原発の事故。極度の不安の中、チェルノブイリを思い出してしまうのでウクライナ語の聴き込みを中断してそのまま6年経ってしまった。
その間にロシアのクリミア半島侵攻、東ウクライナでの戦闘など、ウクライナにとっては厳しい状況が展開した。現在もその状態は続いている。何かウクライナを見捨ててしまったような気がしていた。もちろん、ウクライナにとっては何の意味もないことだけれども。
その間、仕事ではウクライナ語を調べる必要も出て来た。もっとも単語や発音レベルの単純な事柄であったが。それには現在の政治状況も反映されていて、ウクライナの地名をウクライナ語形にするかロシア語形にするか迷う、というようなこともあった(例えばロシア語でハリコフという都市はウクライナ語ではハルキウと呼ばれるのだが、これをどちらにするか、といったような)。ソ連時代にはすべてロシア語名にしていたのだが、ソ連崩壊以後は地名表記をどうするか、誰も基準を示していないのである。
政治と語学は、思ったより関連が深い。中国や韓国と決して良好とは言えない関係にある現在、それらの語学を学ぶ人たちはある程度意志が強くないと挫けてしまうだろう。語学は習熟に長い時間がかかるから、一々の政治状況に反応して学習にブレーキがかかっていたのでは上達が望めない。学習者は、政治的発言よりも、具体的なその国の人たちの顔を思い描いて学習するしかない。
そんなことを考えてみると、私がウクライナ語の学習を中断したのも自分の意志が弱かったためのような気もする。内心ウクライナに謝りながら聴くことにしよう。ウクライナの平安も祈りつつ。
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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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