緊急時の通訳

熊本・大分の連続地震は、痛ましさに言葉もない。
改めて、この国がいかに危うい場所に位置しているのかを思い知らされる。
テレビで、湯布院などの観光地に来ていた罹災外国人のことを報道していた。楽しかるべき観光旅行中に地震に遭遇した人たちも気の毒だ。
人命救助はもちろん最優先事項で、それに当面全力を上げるのは当然である。ただ、こういった、言葉も通じない環境で不安におびえる(旅行のガイドが何から何まで面倒を見てくれるわけではないだろうし、災害時の行動を導くことも難しいだろう)人たちのこともこれからは考えておかなければいけないのだな、とも思う。
日本は治安は良いが災害が恐ろしい国、と思われてしまうのも困ることだ。
せめて、外国人観光客が増えている現在、自然災害に遭った外国人のための緊急通訳なども準備しておく必要があるかもしれない。自衛隊でなくともかまわないが、災害時に駆けつけられる通訳を主要言語分くらいは複数名、国の費用で養成してもよいのではなかろうか。
東京オリンピックの開催期間にも、災害は起こるかもしれない。ボランティアだけでは心もとないだろう。「通訳」の概念も変えていかなければならないのではないか。通訳案内士試験に合格して登録しなければ、旅行の通訳で報酬を貰ってはいけないのだと聞いた。ちょっと実情とずれているような気がする。日常的に「通訳的」なことでアルバイト程度の報酬が得られれば、ちゃんと身に付けようとする人たちが草の根的に増えるだろう。そんな人たちが緊急時にボランティア的に働いてくれることも期待できるのではないか。本格的な通訳が必要な業務は、その範囲をはっきり示した上で、資格を明示できる人にだけ許されることにし(その場合は専門通訳が付くことを広告すればよい)、それを犯した場合のみ罰せられる、ということにした方がよいのでは。とにかくセミプロ的な通訳予備軍がある程度いれば、いざという時に融通が利く。語学は、必要になった時に騒いでも力が急に付くわけではない。日頃から訓練・実践ができるモチベーションを与えた方がよいと思う。
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井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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