世界の中で日本語は

ある小説家が新聞紙上で、
「世界の言語の中で日本語とフランス語が、
一つのものを表わすのに持っている表現が一番多い」旨発言していた。
全体としてはそれがメインの論旨ではないので、
まあ話の前振りみたいな軽い発言なのだが、
世間の人は、信じてしまうだろう。
こんな表現全般にわたる全言語の比較など
とてもできるわけはないのだが、
意外とこういうことを気軽に言う人は多い。
しかしこれは、あまりにも荒っぽい推論であると
言わなくてはならないだろう。
日本語だって、発音の単純さや人称別活用の欠落など、
それが豊富な言語からは、「単純だ」と言われかねない部分があるのだ。
私だって日本人だから、日本語の豊かさは疑っていないが、
自分の豊かな部分だけピックアップして他をくさすのはアンフェアである。
世界には、日本語の世界では知り得ない豊かさがある、またはあるのかもしれないと、
謙虚に考えるのが懐の深さであり、日本語をより富ませていくことに
つながるのではなかろうか。
「世界の言語の中で日本語は・・・」的な発言をしたい人は、
せめてアラビア語とタガログ語とジャワ語あたりを
学んでからの方がいいのではないか、と思う。
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テーマ : 言語学・言語論
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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