教わることは教わろう

『デンマーク語で四季を読む』(田辺欧・大辺理恵編著 溪水社)という本を少し前に買ったまま本棚に置いてあったのを、引っ張り出して眺める。
「デンマーク文化を学ぶための中・上級テキスト集」という副題の通り、ここにはデンマークの作家や詩人の作品、デンマークの社会に関するジャーナリズムの記事や解説など、多彩な文章が収められている。特に文学者の文章が多く、一種デンマーク文学の案内書のような趣を呈している。
 こういう本が他の少数言語でもあったらなあ、と思う。多言語読書を生涯の楽しみにしようと思っても、読むべき文章の選択は膨大で途方に暮れる。このようなアンソロジーはそのための手ほどきにもなり、優れた編纂者のものであれば、そこで素晴らしい文章に出会う確率も高い。人生の時間には限りがある。そういう面で、優れた専門家の意見や選択に頼るのも賢いやり方だろう。全て独力で出来るものではないのである。
 冒頭のBenny Andersenという現代デンマークの国民的詩人の作品を読んでみる。日本の谷川俊太郎氏のような存在だろうか。「難解な言い回しは鳴りを潜めている」と解説にあったが、読んでみるとやはり解釈に悩むところもある。しかし全体の調子は平明で、好感が持てる。この本を読まなければおそらく出会えなかった詩人だろう。これでこの本に対する信頼もぐっと増した。先達に頼る、「教わることは素直に教わる」ことは重要なのだ。
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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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