若き言語学徒たち

 出身大学の言語学科の同窓会があったので、出席した。
 懐かしい顔とも出会えて楽しかったが、初対面の若い人と話すのも大変面白かった。
 若い言語学徒たちは、さまざまな分野を研究しており、私たちの若いころより間口が広がっているように感じられた。認知言語学的手法で英文法研究をしている人、オスマン語(古いトルコ語)を研究している人、チェコ語を中心に研究をしている人、日本語研究の人、また学者ではないが実務で通訳業務をしている人などさまざまである。
 認知言語学関連の話では(もちろん私は全然詳しくないのだが)、自分の考えていた言語習得や文法論みたいなものに参考になる話を聞けたし、通訳実務の話では、国際社会における英語という言語のあり方について有益な意見も聞けた。
 オスマン語読解の話では、西アジアが三つの異なる言語群(セム語族・アルタイ諸語・印欧語族)の交差する地域にあるのだ、ということを実感する話が聞けて(つまり、この三つのグループをある程度習得しないとオスマン語の読解が困難になるのだ)、研究者の日々の実感を知ることもできた。
 また私の本『世界中の言語を楽しく学ぶ』を読んでこの道を志した、という人がいたのには驚くとともに、当時密かに「若い人が読んで、言語学に関心を持ってくれないだろうか。」と考えていたその望みが叶った気がして嬉しかった。本というものの伝播力・持続力は凄いものだ、といまさらながら感じ入った次第である。
 私は学者ではないけれど、自分が育ててもらった学科の学問が、こうやって若い世代に受け継がれて行く姿を見るのは頼もしくもあり、喜ばしいことでもある。ほんの少しだけ、言語学に恩返しが出来たのかもしれない、と勝手に考えている。
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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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