ここは考えどころ

 今学習が一つ落ち着いた状態で、あまり動きはないのだが、一つ困ったことがある。
 というのは、シュメール語が難航しているのである。初めは順調だったのだが、一つには適当なグロッサリーが無いのと(簡単なものはある)、例文の解説があまり無いので、うまく文法的な解釈ができない。もしかすると、アルファベットに転記してある表記が、楔形文字の文字単位に従ってハイフンで繋いだ形に恐らくなっているのだが、文法的な区切れ目と文字単位の区切れ目が一致していない、という理由もありそうなのである。

 日本語もほぼ音節単位の文字なので、それを例に取って言うとこういうことである。
「走る(はしる)」というのは、文字単位に対応してアルファベット表記すると
ha-si-ru
となる。
 そして「走れば(はしれば)」だと、
 ha-si-re-ba
 となる。
 この動詞語幹をhasir-と考え、それに-uを付ければ終止形・連体形、-ebaを付ければ仮定形、連用形「走って」は、動詞語幹がhasit-と変化し、それに-teが付いたもの、と解釈しそのように文法説明をするとする(あくまでも一解釈)。
 その例文に、文字単位に対応してハイフンを配した表記を用いた場合、文法解釈による切れ目(辞書で項目に立つ動詞語幹hasir-)とha-si-、ha-si-ru、ha-si-re-、ha-si-t-taがきれいに対応しないので、どこで切ったらよいのか学習者は戸惑う、ということはありうるだろう。

 似たような問題が今の教本にもあるような気がする。
さらにシュメール語には条件によって補足的な母音が足されるという現象もあるので、それも考慮しなくてはならない。それなのにそのあたりの説明が足りないので困惑している、というわけである。
 変化形の語尾も含めて接辞を漏れなくリストアップする必要があるかもしれない。その上でスペルの切り方を検討しなくてはいけないのだろうか。少々厄介なことになってきた。あるいは例文は飛ばして概論的にまとめるだけにする、という手もある。文法用語の説明もこの本には不足しているので、アウトラインだけ先に掴む方がよいかもしれない。
 歳を考えたら、全ての言語の窓に頭を深く突っ込むというわけには行かないのかもしれないなあ。ここは考えどころである。
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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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