中欧旅行に行ってきました。

 中欧旅行から帰って来た。今年もヨーロッパは異常気象で、連日35度近くの気温になり思ったよりハードな旅行となった。
 さて一般的な旅行の感想などここで述べても仕方がないので、言語に関して述べる。にわか仕込みで会話の練習をしたのだが、さすがにこの程度で意志疎通ができました、などと体裁のいいことを言うつもりはない。そもそも旅行客相手の場所では、英語でほぼ用が足りるし、相手もそのつもりでいるので、無理に現地の言葉を使うのも不自然になる。
 本を買うつもりだったので、プラハのさる書店で、レジにいた若い女性に、
Můžete mi doporučit nějakou knihu české literatury?
(チェコ文学の本を何か推薦してくれませんか?)
 という、用意していたセリフを言ったらこれは通じた。店の奥の年輩の女性にその子が訊きに行き、その年配女性が棚にあったヤロスラヴ・ハシェクという古典的作家の作品を進めてくれたのでそれを買った。辞書も買おうと思ったが、大きい割に単語集の延長みたいな辞書ばかりだったので、そちらは諦めた。
 喫茶店で決まり文句で注文や勘定を済ませるくらいは何とかなったが、会話をした、という実感はない。その程度のものである。
 オーストリアはドイツ語だから、チェコ語よりは通じたが、同じようにドイツ語を話さなければならない機会はそう多くはなかった。
 ハンガリーの現地ガイドは若い男性だったが、彼が大変達者な日本語を話すのに感心して、買う本についてアドバイスしてもらった。その際に
…nagyon jól beszél japánul.(とても上手に日本語を話されますね。)
という、片言のハンガリー語を口にしたら大変驚かれた。ハンガリー語を学ぼうという外国人はほぼいないものと思っておられたようで、わざわざ家族にまで尋ねて本を推薦してくれた。残念ながらその通りの本は入手できず、推薦してくれた作家の別の作品を買うことになったが、ついでに大変良いハンガリー語―英語の辞書を手に入れたので、これは大変な収穫であった。その本屋で、
Lehet fizetni euróval?(ユーロで支払えますか?)
 と訊いたら、Nem.(だめだ。)というので、
Hitelkártyával?(クレジットカードでは?)
 と尋ねると、OKだと言う。売り場を訊くと早口の答えでよく分からない。
Felmegyek?(上がるんですか?)
 と訊くと、
Egyenesen.(まっすぐ。)ということで、売り場は奥にあるのだった。
 こんな片言の会話しかできなかったが、それでも意志は通じたのだから、まあよしとするしかないだろう。
 ガイド氏には、ハンガリー文学のネット上のアーカイヴまで教えてもらって感謝に絶えなかった。幼稚な片言ハンガリー語でも、喜んでもらえたのなら、学習した意義は大いにあったと言っていいだろう。
 旅行自体は、ブダペストのドナウ河夜間クルーズが素晴らしく、大変満足できた。
 さて、これからはまた区切りで新しいスタートである。気持ちを新たにやっていこうと思う。
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無事帰国でしたね

楽しい旅だったようでよかったですね。
ハンガリーは小学校で日本語を教えるところもあって、日本語教育が盛んです。20年前は中年以上だとドイツ語の方が英語より得意な人が多かったです。
ハンガリー文学のアーカイブ、今度教えてください。

Re: 無事帰国でしたね

沢木様

ありがとうございます。楽しい旅行でした。
さてアーカイヴですが、

Magyar Elektonikus Könyvtár というサイトで、
http://mek.oszk.hu/index.phtml
がURLです。

ハンガリー語のテキストがこんなに簡単に手に入るなんて、夢のようです。




> 楽しい旅だったようでよかったですね。
> ハンガリーは小学校で日本語を教えるところもあって、日本語教育が盛んです。20年前は中年以上だとドイツ語の方が英語より得意な人が多かったです。
> ハンガリー文学のアーカイブ、今度教えてください。
プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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