ゆるキャラの終助詞

 ゆるキャラ流行りの昨今である。犬やら猫やら、色々な生物、植物その他がキャラクターになるが、その話す言葉の文末は、大概その鳴き声や名前を終助詞的に使うことが多い。
「〜だワン。」
「〜だニャー。」
「〜だゾウ。」
 人気の「ふなっしー」は「〜だナッシー。」と言っている。
 本来の終助詞は「〜だぞ。」「〜だわ。」「〜だよ。」の「ぞ」「わ」「ね」みたいに、話し手の性別や年齢や性格などを匂わすものが多かったし、それはコミュニケーション上の重要な要素であっただろう。
 しかし、ゆるキャラの終助詞は、話し手がどういう動植物(無生物の場合もあるだろう)であるかを示す役割を担っているだけである。
 そして文の意味内容にはほとんど関係しない。人間同士の会話に使うものではないから、話し手と聞き手の人間関係を反映してもいない。ほとんど虚辞に近い、といってもいいものである。
 この終助詞の役割の軽量化は、何かを示しているのだろうか。人間同士の会話でも、昔ほど終助詞のニュアンスを重要視しなくなったせいだろうか。敬語の衰退ともどこかでつながっているかもしれない。

 とはいうものの、猫ならすぐに「ニャー」「ニャン」、犬なら「ワン」をつけて済ませる芸の無さはなんとかならないのか。これはペットを題材にした出版物などにも頻繁に見られるので、出版人も大きな顔はできない。ちょっと恥ずかしい感じがする。
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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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