『神曲』つづき

ダンテ『神曲』は第11歌に入った。
ここまで読み進めて来て、
最初思ったより手ごわい、と感じている。
やはり現代語では使わない語彙が頻出するし、
変化形もずいぶん違う。
推測はするが、当たっている時もいない時もある。
論理も、現代人(ましてやキリスト教徒ではない)には
説明されないと分からない運び方も多いし、
フィレンツェの歴史にまつわる登場人物も多く、
ほとんど注を頼りに読んでいる感じだ。
ただ時折面白い個所もある。
この11歌では

Ma perché frode è de l’uom proprio male,
più spiace a Dio; e però stan di sotto
li frodolenti, e più dolor li assale.
(だが欺瞞は人ならではの悪ゆえ、
神の忌み嫌うところ。なればこそ詐欺師どもは
地獄の輪の一番下の輪におり、より大きな苦しみをなめるのだ。)

とあり、 欺瞞は暴力よりひどい罪である、とされている。
なぜなら暴力は力(人でも獣でも変わらない)によって為されるが、
欺瞞は理性(人のみが持つ)によって為されるからだ、ということらしい。
このあたり、日本人としては
分かるような分からないようなところだ。
前の個所でも、性的な犯罪より、貪欲さ(食欲も含む)のほうが
罪が重い、といった記述があり、
グルメにうつつをぬかしている日本人には
耳の痛い話である。
どうやらキリスト教では、
外面的な悪より、内面的な悪の方がより重い罪であるようだ。

まだベアトリーチェは出て来ない。
『神曲』の神髄は彼女が登場してからではないかと期待しつつ
読み進めている。
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ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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