アイヌ語

『カムイユカラでアイヌ語を学ぶ』(中川裕・中川ムツ子著 白水社)を読み終えた。
というより調べ終わった、という方が正確かもしれない。
これにはCDが付いていて、カムイユカラkamuyyukarという、アイヌ民族の口承の詩あるいは物語が吹き込まれている。これを調べておいて、後から聴くのだ。語学の勉強か、文化の鑑賞か、その中間くらいのものだが、聴くのを楽しみにしている(先に聴かなくてはならないものがあるので、すぐに、というわけに行かないが、すこし寝かせておいて新鮮な気持ちで聴く、というのも、実用を旨としない語学の粋な楽しみ方だ、と思っている)。
この本の中の例を少し紹介しよう。第2課に「鳥のなきまね」というのが載っている。
最初の「キジバト」は、
kusuwep toyta キジバトが畑を耕す
huci wakatta   おばあちゃんが水を汲む
katkemat suke  奥さんが料理する
pon tono ipe   若殿様が食事する

というもので、そのあとにアオバズク、ツツドリ、ヒバリと続く。
2行目のhuci wakkata(フチ・ワッカタ)というのが、
キジバトの鳴き声の「聞きなし」らしい。
フチが「おばあさん」、ワッカタが「水を汲む」という意味(ワッカが「水」)で、
聞きなしに言葉を添えて小さな話に仕立てるものらしい。
ちょっと見ただけでも、何か素朴だが独特の世界観みたいなものを
感じられるのが嬉しい。
こういうもの、他の少数言語でも出してくれないかな。
アイヌ語を調べていて思ったのは、
きちんとした「日本語‐アイヌ語辞典」がまだ無い、ということ。
アイヌ語の復興のためにも、必要ではなかろうか。
さて、アイヌ語の次は何を調べようか。これを考えるのも楽しみである。


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テーマ : 言語学・言語論
ジャンル : 学問・文化・芸術

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井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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