イテリメン語

ちょっと休んでいた『日本語の隣人たち』の、次の言語はイテリメン語。
カムチャツカ半島に住むイテリメン人の言語で、かつてはカムチャダール語と呼ばれていた。
カムチャツカ、とは私の意識の中で、言語に関する空白地帯だった。
近隣にはコリャーク語、アリュートル語、チュクチ語、ケレク語などが存在するというが、
どれ一つとして知らないから、実感が湧かない(言語の名前だけ並べても意味が無い)。
今回「齧って」みた限りでは、イテリメン語は、何か突出して特徴がある、という言語には思えない。
これは言語学者だけが興味を持つような点についてだけ言っているので、
この言語の価値自体について言っているのではない。
イテリメン人にとっては無論かけがえのない母語である。
発音に放出音というのがあって、これは破裂音や破擦音を発声するとき、声門を閉鎖して喉頭を押し上げ、それによる口腔内の気圧の高まりで破裂音・破擦音を発音するものである(声門も続いて開放される)。
ちょっとまだ実際の発音を確かめていないので、詳細には書けないが、そうむずかしい発音ではなかろうと思う。
それはともかく、文法的には接辞を動詞の前後につなげる、膠着語的な性質の言語だ。
しかし日本語より、その接辞の一度に連なる数は多そうである。
とは言っても、一般名詞なども接辞のように埋め込んでしまう、ナワトル語のような抱合語とは違うようである。
また、接辞間の音的融合なども少なそうであるから、存外素直な感じはする。
もっともこの程度のボリュームの解説では、分ることにも限度がある。
とはいうものの、空白地帯だったカムチャツカの一言語の感触を得て、
地球は広い、という感じを少し思い出した。
イテリメン語を流暢に話せる人は20人位しかいないそうである。
もうじき、本当の空白地帯(のっぺりとロシア語地域が広がる)になってしまうのだろうな。
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テーマ : 言語学・言語論
ジャンル : 学問・文化・芸術

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井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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