ニヴフ語

『日本語の隣人たち』中の次なる言語、ニヴフ語は
別名ギリヤーク語(現在はニヴフ語と呼ぶのが正しいとされる)。
サハリン(樺太)とアムール川下流で話される、
系統不明の、孤立した言語である。
考えると、日本語、韓国語、アイヌ語、そしてこのニヴフ語と、
北東アジアには、言語学的に系統不明、とされる言語が多い。
これはどういうことを意味しているのだろう。
もともと孤絶した、小さなグループに分かれて
互いに没交渉で長年暮らした結果、だろうか。
それにしても、ずっと昔は共通の言語だったのだろうか。
それとも全く各々別個に発生したのだろうか。
あるいは逆に、征服や交雑の果てに、
それぞれが元の言語の姿を留めないほどに変形したのだろうか。
難しい問題だ。日本語起源論にも関係してくるだろう。
さてニヴフ語である。
面白い音変化をする言語である。
語末の破裂音と、次の語の語頭の破裂音が続くと、
後ろの破裂音は摩擦音に変わる。
同様に語末と語頭の摩擦音の連続は、
後の摩擦音を破裂音に変える。
つまり、同じ性質の音が続くのを嫌い「異化」させる。
しかし一方、語末の母音・流音・鼻音などは、後に続く語頭の破裂音を
摩擦音に変える。これはむしろ自分の方に破裂音を引き寄せて緩める、
「同化的軟化」(あんまり学術的ではない、感覚的表現だが)とでも呼びたいものだ。
とまあ、これは俄か勉強で、自分なりに付けた理屈だけれど、
こんな現象というのは初めて見た。
系統の違う言語を学ぶ時は、音声学の知識というのは役に立つ。
複雑そうに見える現象の背後に、その言語なりの「癖」の「理屈」を
自分なりに見つけていくのは、ややこしいが、成功するとすっきりして気持ちがいい。
音声に限らず、文法現象でも自分なりに解釈するのは
頭の体操になって、老化防止にもよいかもしれない。
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テーマ : 言語学・言語論
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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