セデック語

白水社『日本語の隣人たち』を勉強し始めた。
これは日本の周辺に存在する(というより環太平洋と言うべきか)8つの言語を
3課ずつのレッスン(音声付き)で紹介していくもの。
まず最初のセデック語に今取り組んでいる。
3課しかない、ということは、文法はほんの一部(根本的なもの)しか説明されないということだ。
会話例が3つと、それにまつわる文法説明のみ。
これは、ただ眺めたり聴いてみる、というには適当だが、
少しでもその言語の成り立ちを知りたいと思うものには
大変困難な状況である。
セデック語は台湾の先住民の言語で、オーストロネシア語族に属する。
言語としては、フィリピンのタガログ語などに近い。
タガログ語を中心とする言語グループには「フォーカス現象」とでも呼ぶべき文法的特徴がある。
例えば、「私は部屋の中で彼のために歌を歌った。」という文があるとする。
その場合、文の中心的主題を「私」に取るか、
「彼」に取るか、「歌」にとるか、「部屋」に取るかによって、
動詞の活用形が異なってくる。
つまり、文中のどの主題にフォーカス(焦点)を当てるかによって、
活用が変化するという、なかなか飲み込みにくい現象が起こるのである。
この辺りを承知していると、セデック語の動詞活用も見当がつきやすいのだが、
まったく知らずにこれを見たら、複雑怪奇で、
「世界にはいろんな言葉があるものだ。」で終わってしまうだろう。
その点では、この本の3課ずつのレッスンは、
多言語学習者への力試し的な性質がある。
他の言語はどうだろうか(ハワイ語は既習。エスキモー語は不完全だが齧ったことはある)。
こういう文法学習もあることを、初めて知った。
スポンサーサイト

テーマ : 言語学・言語論
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

赤間冨三郎『セーダツカ蕃語集』昭和七年
200頁近い分量があります。
台湾國立台中圖書館でデジタル化された物が公開されています。
國語⇔沙績語 対照 蕃語はカナ表記で分かち書きと逐語譯が施されています。

No title

情報提供いただき、ありがとうございます。
プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード