モンゴル語の意外な音

モンゴル語の録音を聴いていて、
[l](エル)の発音が気になった。
ハルハ・モンゴル語の発音なのだろうが、
エルが、無声化した帯気音のように発音される。
前後の母音が脱落する現象も散見されるが、それは措くとして、
このエルはどこかで聴いたことがあるぞ、と思っていたら、
なんとケルト語派のウェールズ語のllのスペルの発音にそっくりである。
[ɬ]の音声記号で表される、側面無声摩擦音である。
舌先を歯茎に当てて、エルを発音するような形を取り、
そのまま舌先を動かさずに、息が舌の横から漏れるように発音する。声は出さない。
[ɬa]と発音すれば、「フラ」とか「ハラ」のように聞こえる。
darllen(読む)というウェールズ語を発音すると
「ダルフレン」のように日本人には聞こえるのだ。
こんなに離れた言語同士で、珍しい音が似通ったものだ。
よく観察してみれば、ある言語でしか観察されないと思い込んでいた特殊な音が、
実は他の言語にも存在した、ということはありそうである。
言語を習うときは、そのときの説明に合わせて音を解釈しようとするので、
どうしてもこういう「素の」観察ができない。
考えてみれば、同じ人間の口を使うのだ。
同じような発音が出てきても不思議はないのかもしれない。
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テーマ : 言語学・言語論
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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