多言語読書について

「多言語読書」というと、どんな凄い読書なのかと
想像する人もいるかと思うが、
実際は地味な外国語読書の積み重ねである。
実際、最初のうちは「解読」で、
少し慣れて「読解」になり、
それをずっと続けていくうちに、
文法より内容に重点が移る「読書」になっていく。
辞書を引き引きでも「読書」できる言語は、
英・仏・独・伊・西・葡(ポルトガル)・露・中・韓くらいだろうか。
しかしこの中にも濃淡はある。好みの差、なのかもしれない。
しかし、この他の言語でも、時に読書をすることはある。
現在、デンマークの王立図書館のサイトからプリントアウトした
アンデルセンの童話を読んでいる(デンマーク語)。
実際「解読」「読解」「読書」の線引きははっきりせず、
時間や体力の制限もあるから、
まちがいなく読書できるレベルまで持っていける言語とうのは
そう多くはできない。無理である。
しかしそれでも、少しでも多くの言語の名作を
直接味わってみたい、というのが正直な気持ちで、
それは、「文学というのは言語を用いて行う表現である。」
という当たり前の事実から発しているものである。
たとえば、チェーホフの文学は、チェーホフの用いたその言葉づかいから
直接立ちのぼって来るものだから、
ロシア語の原文を読む以外の方法は
どう理由をつけても代替手段でしかない。
直接、読みたいのだ。
その作家の全作品を翻訳で読むより、その代表作一篇を
原文で読むほうに私は価値を置く。
(これは異論が当然あるだろう。しかし自分としてはやはりそう考えているのだ。)
カレル・チャペックをチェコ語で、
ホメロスをギリシャ語で(これも現在始めた)、
オマル・ハイヤームをペルシア語で読む。
それが私の理想である。
しかし、他の形の多言語読書もあり得るだろう。
世界中の童話を読む、とか、
世界中の短編小説を読み比べる、とか。
あるいは一つのテーマが、世界の諸文化でどういう現れ方をしているかを、
読み比べて比較研究する、とか。
私も残された時間で、なるべき多くの「良い作品」に出会えるよう、
自分の乏しい能力で出来る限りのことをしたいと思っている。

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井上さんの「世界中の言語を楽しく学ぶ」は私の愛読書です。私の外国語は大半が入門か初級終了レベルですが、いろいろな言語をつまみぐいするのが好きで、文法や語彙を比較しながら楽しんでいます。世間ではコミュニケーションのための言語ばかりがもてはやされますが、地道に文法を身につけて読解を進めていく楽しさはまた格別だと思います。私の場合、なかなか「解読」の段階から先に進みませんが、自分なりにこれからもいろいろな言語を楽しんでいきたいと思っています。こちらのブログも楽しみにしています。

ありがとうございます。

同じ趣味をお持ちの方に御覧いただいて
大変うれしく思います。
まだ始めたばかりのブログですが
張り合いが出そうです。
更新はそれほど頻繁にはできませんが、
お暇のある折にはまた御覧ください。
プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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