外国語テキストの過剰な注釈

チェーザレ・パヴェーゼの『月と篝火』(La luna e i falò)の原文テキストを読んでいたら、それに付いている注があまりにうるさいので、少しイライラした。
 一々の表現の意味を簡潔に説明するだけならよいのだが、個々の表現にはこれこれの技巧が用いられているとか、こういう比喩にはこういう効果があるとか、別に知りたくもないうるさい解説が山盛りで、どこで注を読むのを切り上げるかに気を使うという、ちょっといただけない注釈になっている。
 よく見たら出版社はEinaudi scuolaとあるので、これはエイナウディ社の教育出版部門なのだろうか。つまりこのテキストは、学生が文学を勉強するためのものらしいと気が付いた。だからこんなに懇切丁寧というか過剰な説明が付いていたのだ、と納得した。
 しかしこんな教科書で教育されて文学が好きになるものだろうか。日本語の古典教育でもそうだが、最初から文章技術や文法の詳細な説明を聞かされたらうんざりして嫌いになるのがオチのような気がする。最初は意味が了解できる程度の説明で、とにかく作品が味読できることを第一に、良いものをとにかく読むということが肝心だと思うのだが。
 とにかくこの本は、注は適当に流して読んでいくことにする。外国語の本選びも意外と難しい。
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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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