新鮮な認識

 マラガシ語を調べていたら、面白い表現を見つけた。
mamaky teny(ママキ・テニ、「読む」)という表現なのだが、mamakyが「壊す」、tenyが「言葉」で、英語に直すならばbreak wordsとでもなるだろうか。「言葉を壊す」とは、「書かれた言葉を噛み砕く」といったニュアンスであろうかと思う。こういう表現を見ると、ハッとする。日本語や他の言語ではしない発想だろう。確かに、読むという行為にはこういう感覚があるな、と思うが、この表現を知るまでは意識したことがなかった。
こういうところが、多言語を学習する面白さの一つである。外界に対するいろいろな認識の仕方を知ること、それは新鮮でもあり、自らの認識の壁に風穴をあけるものでもある。
以前、タイ語で「蝶」のことをผีเสือ[phĭi sɯ̂a](phĭi=お化け、 sɯ̂a=服)と言い、これは「服のお化け」ということになるのだ、ということを知って、美しい柄の入った服がお化けとなって飛んでいるというイメージに感嘆したことを思い出した。こういう表現に逢うと、確かに物事への認識が変わる気がする。
言語を学ぶ、というのはただ実用に供するためだけではない、という感を深くするものである。
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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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