短編集を読む

 必要があって英語の短編名作集を読み始めた。シェークスピアは一時中断。ペーパーバックで1000円強という安い値段にもかかわらず、4編読んだところですでに粒揃いの作品に感心。
 特に有名なキャサリン・マンスフィールドの「The Garden Party」は素晴らしい。このタイトルは学生の頃目にした覚えがあって、読んだのかどうか記憶が定かではなかったのだが、今回読んでみて、やはり初読であることがはっきりした。内容はここで述べないが、最後にいわゆる「オチ」というような表層的ではない、一種の「深化」と呼ぶべき表現がある。こういうものを「文学」と呼んでいたのだろうな、と漠然と考える。
 マンスフィールドという人は、作家としてもプライベートでも決して幸福とは言えない生涯を送った人らしい。しかしこういう人に、こういう作品がある。そのことの意味は重くて深い。詳しい境涯は知らないが、「命懸けで書かざるを得なかったのだろう」と感じずにはいられない。
 こういうふうな読書が続けられたら理想なのだが。雑然とした自分の生活と、いいものに出会う偶然の確率とを考えると、なかなか難しい。せめていいものに出会ったら、ゆっくり噛みしめて味わうことが大事だろう。
 来年の抱負は、特に無い。淡々と暮らせればそれで良い。そしてほんの少しで良いから、良い出会いの可能性が欲しい、といったところである。
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プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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