オランダ語文献

仕事で、ある作家の資料の下調べを依頼された。
17世紀のオランダの地図を解説したもので、
説明文はむろんオランダ語である。
やってくれる人がなかなか見つからないようで、
「もしや」と思って編集者が私に声をかけてきたのだ。
とりあえず読んでみましょう、ということで取り掛かり、
仕事の合間を使って2日間で訳して渡した。
読んでみると、地図の原文を活字化している部分は、古いオランダ語のスペルで、
ちょっと見当をつけるのに時間が掛かった。
たとえばontsetというスペルが出て来て、これの意味がどうしても分からず、
しばらく文脈を考えた末に、ontzet(解放)という語の古いスペルだと判明。
ほかにもラテン語やドイツ語の部分があり、やはり一筋縄ではいかなかった。
しかし、私としては大変楽しい経験であった。
それにしても、西洋史の研究者などは、原典を渉猟するためには、相当の語学力が要求されるだろう。
ギリシャ語、ラテン語は無論のこと、英独仏伊西、はたまたテーマによってはそれ以外の言語も。
西洋史以外も、同様かと思う。大変な分野である。
しかし実際のところ、どれくらい原典に遡っての研究は行われているのだろうか。
私は門外漢だからいいかげんなことを言うのは控えるが、
今回のような経験をすると、海外の、時代を遡った正確な事実を知る、ということですら、そう簡単に
行かないのかもしれないと感じたのである。
商売にならない語学を学ぶ人間はどんどん減って行き、それによって学問も細って行く、ということがないよう願うものである。
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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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