最終講義

今日、大学でU先生の最終講義があり、
招かれて聴きに行った。
先生と呼ぶより、私にとっては
言語学科に入った当時の学科の助手を務められていた先輩であって
「Uさん」とお呼びしていたから、
そのUさんが最終講義をなさる年齢になったかと、
感慨深いものがあった。
しかし講義は、Uさんの誠実な研究者としての人柄がにじみ出た
素晴らしいものであった。
Uさんは日本語のアクセント研究が専門で、
その述べられた説に、私としては大変参考になるものがあった。
しかし今考えてみると、私の学んだ時代は
言語学にとって、一種理想的な時代だったのだな、と思う。
細かいことは省くが、言語を学ぶ情熱と、それを実現する環境が
あの時代ほどバランスのとれていた時代は稀かもしれない。
言語地理学の授業で、
岩手県の雫石(しずくいし)や鹿児島県の徳之島に
方言の聴き取り調査に行った経験などは
なかなか得られない貴重なものであった。
私などは、迷惑しかかけていない口であるが、
それでも言語の話される現場で調べる、というのは
その後の言語観には大きく影響したと思う。
とにかく今日はなにか静かな満足感を得た一日だった。
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テーマ : 言語学・言語論
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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