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ちょっと悔いが残った話

 『ダルマチア語』翻訳、原書の200ページに到達。
この辺りは非常に細かい方言の実例や他の言語との比較が密に現れるので、たいへんに骨が折れる。延々と難路を行進しているような具合で、いつ目的地が見えてくるのかと溜息の一つもつきたくなる。
 でもあと十数ページだ。それで第1巻は終わる。もっと厚い第2巻が待っているが、とりあえず一息つけるだろう。
 仕事がここのところ少し暇だったので、逆に助かった。ほかにも予期せぬアクシデントがあったが、何とか乗り越えられた。確定申告も済ませたし、腰を据えて取り組みたい。
 それはそうと、別途読んでいるシンハラ語の読本が意外と難しい。というより、辞書に出てこない形が頻出するのであれこれ推測しながら辞書に書き込みをしたりしなければならない。文法をやって、少し会話文を聞いたぐらいではとても太刀打ちできない。ビルマ語(ミャンマー語)の読本でもそう思ったのだが、今回の方がもっと難度が高い。こういう地べたを這うような学習をしていると、「何カ国語読めるんですか?」という質問に対して何とも苦笑いしか浮かべられない気がする。そんな気楽に読めるようにはなれませんよ、残念ながら。
 先日、ある場所で校閲の話をして、ついでに多言語学習が役に立った例なども話したのだが、話が終わるとすぐに、「その文法ノートの中身を見せてください」と言った人がいた。こんなことに興味を持ってくれる人もいるのだなと思って、持参したノート類を見てもらった(ほかにも見ている人が結構いた)。説明をした方がいいかなと思っていたら、校閲関連の質問者がたくさん来て、その対応に追われているうちタイムリミットとなってしまった。説明ができずにちょっと悔いが残った。
 さああと少しで折り返しだ。頑張ろう。
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折り返しまでもう一息だ

 『ダルマチア語』訳出、190ページに達した。
 あともう少しで200ページである。やっと一山越えられそうだ。
 ここのところの10ページはイタリア各地の方言とダルマチア語との対応関係など、とても細かい話が多く、今までと違う困難さがある。しかし今までいくつか方言も勉強していたおかげで(また辞書もいくつか買っていたおかげで)、どうにか乗り越えられそうだ。意外にも仕事の必要で買ったカラブリア語の辞書がこんなところで役立った。
 しかし相変わらず人名、著作名の略記が多く、正確な形を探し出す手間が一通りでない。最後までこんな風だろう。論旨も時折「あれ?」と思うような難解な部分がある。訳してからもう一度素読みをして(全体を訳し終えてからの話なのでずいぶん先のことだ)、整えて行かなくては。
 下巻はダルマチア語やその周辺の言語のテキストなどの資料集だから、それはそれで大変だと思う。校正もしっかりしないといけない。校閲者で本当に良かったと思う。そのあたりの技術は年の功である。
 上巻を読むのにアントニオ・イーヴェのダルマチア語解説本も必要なので、いずれOCRのソフトなども購入しなくてはならないかと思う(1ページ毎に厳密に再現したいので)。使ったことがないので暗中模索だけれども、それは追々段階を踏んで考えよう。

語義を探すのに一苦労

『ダルマチア語』翻訳、180ページを超えて、第1巻の第3節に入った。
第2節はダルマチア語周辺の言語との関連を細かく検証するもので、非常に手が掛かった。
種々の言語の例が頻出するので、その語義を調べるのに苦労した。原書同様に語形のみ記していれば良いのかもしれないが、それでは読むのでなくただ眺めて終わりという翻訳になってしまう。それでは言語同士のかかわりの実感が湧かなくて、何と言うか言語同士のダイナミクスが感じられない。
だから多数の語を音声変化の実例として単純に羅列している場所を除いて極力語義を添えるようにした。それでも辞書に出ていないものや、対応する現代標準語が突き止められない例もある。その場合は正直に「語義不明」とか、推測した語に「?」を添えるなどした。そこを訳すのが翻訳だろう、という声が聞こえて来そうだが、不明なものは不明なのである。手を尽くしても分からなければそうする以外にないのだ。無いものねだりをしても仕方がない。
120年前の記述だから、現代語とスペリングも違ったり、そもそもその語が今では突き止めようもない方言だったり、不正確な資料によって記述するしかなかった、というような事情もあるかもしれない。現時点でできることをするだけである。
本書に実例や本のタイトルその他で登場する言語はイタリア語、ダルマチア語、クロアチア語、セルビア語、セルボ・クロアチア語、スロヴェニア語、ドイツ語、フランス語、ヴェネト語、フリウリ語、ルーマニア語、アルバニア語、ハンガリー語、ロシア語、ブルガリア語、ギリシャ語(古典・現代)、ラテン語、古オランダ語、古フランス語、中世高地ドイツ語、その他イタリア語諸方言、等々である(今のところ)。簡単ではないのである。
あと30ページちょっとで、第1巻が終わる。せっせと訳して行こう。

その他の語学では、シンハラ語の読本を開始。辞書にも出ていない動詞の変化形に面食らう。シンハラ語は口語と文語で落差があるようだ。読んでみなければ実感が湧かないものである。それから白水社のタタール語の文法も開始。これはエクスプレス・シリーズの1冊で、記述が簡潔明瞭だからそんなに長くはかからないだろう。トルコ語の類縁の言語なので分かりやすい。タイ語単語は相変わらず。ソグド語もぼちぼち。聴き取りは当分の間変化なしである。

中継地点が見えてきた?

 『ダルマチア語』翻訳、170pを越える。
 これで全体の3分の1を超えた。第1部はあと45pなので、中継地点がかすかに見えてきた。
 しかし今訳している個所は、音声変化の細かい検証なので、様々な語例の列挙が引きも切らず、入力が大変手間取る。その上誤植があってはならないので、打った後にテキストとの照合をしなくてはならない。
校閲者なので日常的な作業、と言ってしまえばそれまでだが、やはり時間はかかる。第2部は資料編だからさらにそういう作業は必要だろう。ちょっとため息が出る。
 それから120年も前の著作なので、現代の音声記述との微妙な差異もあり、記述に若干首をひねるところがないでもない。私の方の知識不足かもしれないので、後からじっくり考えなおすことにして、いまはとにかく訳を進めることだけである。
 他の語学では、シンハラ語の読本に取り掛かった。三省堂から出ている大きなシンハラ語辞典を使っているが、そもそもスペリングや語の切り離し方に揺れがあって、簡単に語釈が見つからないことも頻繁である。だから語学はやってみなければ分からないものである。小さめのシンハラ語—英語辞典の方で解決が付くこともある。大は小を兼ねる、とは行かないこともあるので辞書はなかなか簡単に処分できないのである。といっても我が家のスペースも限られているから、本棚に置く本の取捨選択は常に難題である。
 タイ語の単語復習も、「まあなんと覚えていない単語が多いのだろう」とあきれる他無いけれども、これはお経を書き写したり唱えたりするように地道にやっていくしかない。どうせ残りの人生を考えれば、それを活用して活動などということはまず無いのだし、もうこの学習自体が毎日の勤行みたいなもので、ひとまずやれるだけやればそれでいい、という楽な気持になっている。ソグド語も似たようなものである。
 聴き取りもチベット語、セルボ・クロアチア語、マラガシ語とゆっくり進めている。スウェーデン語は途中で一旦止めて、残りの部分は調べを先行させている。それがもうすぐ終わりそうなので、その後に何を入れるかは今のところの楽しみ、という具合である。

ゴート語の辞書

『ダルマチア語』翻訳、160ページまで到達。全体は500ページを超えているが、実質部分は480ページぐらいだから、3分の1は済んだことになる。
 いよいよイリュリア(バルカン半島西部)の種々の言語とダルマチア語(ヴェッリア語)との関連を探って行く、まさに言語学的記述に移ってきた。個々の議論は細かく、具体的な語が次から次へと出てくる(しかも古語や方言も)ので、裏を取るのが大変である(分からないものも、ある)。
 ゴート語(古いゲルマン語の一種。ウルフィラが行なった聖書の翻訳が資料のほとんどを占める。言語学的に有名な言語)との関連を論じている個所ではゴート語を調べる必要が出て来た。
 ゴート語の辞書は昔紀伊國屋で英語のものを見かけたが、さすがに必要になるとは思わなかったので買わなかった。その後、大学書林から出たのは知っていたが、高価なのと、用途が限られる(ゲルマン語の比較と、ウルフィラの聖書解読)ので、やはり買わずにいた。それより先に必要な本がたくさんあったのだ。というわけで入門書は齧ったが、そこ止まりである。文法ノートは作ったが、使うこともほぼ無いだろうという気でいた。
 しかし必要になったのである。これは計算外であった。Amazonで見たら、大学書林の辞書で中古品が半額近くで出ていたので早速注文した。辞書は「引いてナンボ」である。本棚の肥やしや、調度品にするつもりはないから、引けるのなら中古品で十分だ。
 しかしこの翻訳、資料がいろいろ必要になる。もともと持っていたものがここで初めて活きた、というものもあるけれど、こんなふうに不要だと思っていたものが必要になる、ということもあるのだ。それでも、漠然としていたものがはっきり分かるようになるのは嬉しい。本来翻訳とはこんなふうに、「理解したい」というところから始めるものなのだろう。
プロフィール

井上孝夫

Author:井上孝夫
多言語の学習・研究、多言語読書を長年続けています。著書に新潮新書『世界中の言語を楽しく学ぶ』『その日本語、ヨロシイですか?』あり。マンガ・イラストの別ブログ「スケッチ貯金箱」もやっています。

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